いつか「ほんと」になれたら


 

「ちなみに純恋さん、怒ると怖いよ」
「え……そうなの!?」


 普段、あんなに良くしてくれる純恋さんが?

 信じられない…けど、優しい人ほど怒ると怖いらしいから、そういうことなのかもしれない。
 
 
「うん。ガチギレすると暴走する」
「暴走?それは気になるな」


 ……暴走?
 
 少し物騒な単語を聞いて、ますます分からなくなってきた。喧嘩…はさすがに違うよね。
 じゃあ、なんだろう。

 
「昔あったことだと、妹に危害を加えた上司に決闘挑んだ…とか」
「「こわ」」


 純恋さん、強すぎる。
 妹さんのことは絶対危険に晒さないようにしないといけない。

 
「でも、そんな純恋さんだからこそ、私も愛されてるなって常に思えるんだ」
「そっかぁ……」
「好きをたくさん伝えるのって大事なんだね」


 艾葉ちゃんは施設育ちらしいけど、純恋さんのおかげでこれまでの不安も全て吹き飛ぶのだそうだ。
 だから艾葉ちゃんは純恋さんのことが好きなんだろうな。
 
 勉強になったと頷くエリックの言葉に、わたしは素直に愛を伝えてみる。
 気恥ずかしさを吹き飛ばすように、満面の笑みを向けた。
 
 
「わたしもエリックと艾葉ちゃんのこと、大好きだよ!」
「咲凜ー!!私も大好き」
「僕も咲凜が大好きだよ」

 
 2人に抱きしめられて、胸がぽかぽかと温かくなった。
 明日、芽蕗ちゃんにも大好きって伝えてみよう。

 そしていつかは、燐人くんにも。