いつか「ほんと」になれたら

「それよりさ、咲凜の王子様とはどうなったの?」
 
 自分の告白談はもういいからと、艾葉ちゃんはわたしに話を振る。
 
 わたしの王子様……つまり、エリックのことだ。
 みんなすごく気にかけてくれるけど、わたしには彼と話す資格すらない。


 
「相変わらずだよ。早く会いに行けばよかったって思ってる」

 『咲凜は悪くないよ』
 聞こえるはずもない声が、わたしの言葉を止めようとする。

 わたしのせいじゃない。忙しかっただけ。
 そんな空耳の通りに思えたら、楽だっただろう。


 でも、エリックを遠ざけたのはわたし。
 だから、悪いのもわたし。
 分かりきった事実を否定してしまいたいのは、絶対に認めたくない答えがあるから。
 

「やっぱり、叶わない恋だったんだよ」