いつか「ほんと」になれたら

 晩ごはんを食べながら、私は喉元に違和感を覚えた。…あ、たぶんこれ、やらかしたわ。

 今日のこの魚は骨が多いから、実はちょっと苦手だったりする。
 味は嫌いじゃないから、安くて買っちゃったんだけどね。


 ちょうどその時電話が鳴ったので、私は全てを咲凜ちゃんに丸投げすることにした。
 ほんとにごめん!
  
「ごめんね、咲凜ちゃん。今、喉に魚の骨が刺さっちゃって手が離せないから、電話出てきてくれる?」
「え、大丈夫ですか?」

 こんな、すごく美化して言えばおてんばな私を心配してくれる咲凜ちゃんは本当に優しい。
 
「うん……。私のことはいいから、電話をお願い」
「わ、分かりました」
「純恋さん…。気をつけてっていつも言ってるじゃん!体に障るよ?」
「私は老人か」


 艾葉に老人扱いされたことにショックを覚えながら、喉の骨をどうにかすることに集中する。これだから、そこまで魚好きじゃないんだよね…。

 そんなことを考えていたら、咲凜ちゃんが部屋を出ていったタイミングで艾葉に耳打ちされる。


「純恋さん、マジナイス」
「何が…?」