そして、王女は、僕たち兄弟が図書室に籠っているのを知って差し入れをしてくれたことがあった。その時も、僕に話しかけていても、視線はずっと魔法の弟に固定されたまんまだったのを覚えている。
逆に王女が僕のことを好いていたらと思えば、ここの関係性は非常にありがたい。
「そんな……。義姉上のことはどうするおつもりですか?」
「僕のことは死んだことにしてもらおうと思っているけど…」
「私もそれが賢明な判断だと思いますね」
僕が生きているということになると、王女も離婚がしづらくなる。
それに、咲凜の元へ無事に辿り着いたなら、この世界には戻ることもないだろうし、僕にとってもデメリットはない。
「あ、」
「まさか…!」
今後のことを考えていると、弟たちが同時に声を上げる。もしかしてと思い、視線を向けると、誇らしげな笑みと目が合った。
「はい。呪文が見つかりました…!」



