◆◆◆
そこまで読み終えて、僕は大きく息をつく。
それと同時に閉じた本の表紙には、『魔法の白馬』の文字がある。
そう。僕が主人公の、咲凜の絵本だ。
咲凜が寝ている間、暇だったので夢の中を探索していたところ、見つけた。
本当は咲凜と話せたらよかったけど、今日も咲凜は夜遅くに布団に入ったんだから仕方ない。
夢の中とはいえ、疲れているであろう咲凜を僕のためだけに起こすのは申し訳なさすぎる。
それにしても。
「白馬、全然出て来なかったなぁ……」
この絵本、タイトルにも表紙にも白馬がいるにも関わらず、なんと白馬が全くと言っていいほど出て来ないのだ。
僕が怪物討伐に行く時に出番があったかなかったか…。
かつて咲凜が絵本のタイトルを覚えられず苦戦していた際に、自分と白馬との接点を思い出せなくて、僕も僕で頭を抱えた記憶がある。
誰か、この絵本のタイトルを変えてくれ。
白馬の存在を1ミリも覚えていなかった僕を怒るかのように、絵本の表紙で胸を張っていた彼が途端に暴れ始める。
その勢いは凄まじく(一瞬、僕じゃなくて彼が怪物を倒したんじゃないかと本気で思った)、次々に絵本のページがめくれていく。
最後のページが開かれた時、僕は「めでたしめでたし」の後にまだ1文あったことに気づいた。
僕の口からは、思わず笑い声が溢れる。
だって、こんなの心当たりしかない。
『──王子様は、誰よりも大切な女の子を幸せにするための旅に出ました。』
そこまで読み終えて、僕は大きく息をつく。
それと同時に閉じた本の表紙には、『魔法の白馬』の文字がある。
そう。僕が主人公の、咲凜の絵本だ。
咲凜が寝ている間、暇だったので夢の中を探索していたところ、見つけた。
本当は咲凜と話せたらよかったけど、今日も咲凜は夜遅くに布団に入ったんだから仕方ない。
夢の中とはいえ、疲れているであろう咲凜を僕のためだけに起こすのは申し訳なさすぎる。
それにしても。
「白馬、全然出て来なかったなぁ……」
この絵本、タイトルにも表紙にも白馬がいるにも関わらず、なんと白馬が全くと言っていいほど出て来ないのだ。
僕が怪物討伐に行く時に出番があったかなかったか…。
かつて咲凜が絵本のタイトルを覚えられず苦戦していた際に、自分と白馬との接点を思い出せなくて、僕も僕で頭を抱えた記憶がある。
誰か、この絵本のタイトルを変えてくれ。
白馬の存在を1ミリも覚えていなかった僕を怒るかのように、絵本の表紙で胸を張っていた彼が途端に暴れ始める。
その勢いは凄まじく(一瞬、僕じゃなくて彼が怪物を倒したんじゃないかと本気で思った)、次々に絵本のページがめくれていく。
最後のページが開かれた時、僕は「めでたしめでたし」の後にまだ1文あったことに気づいた。
僕の口からは、思わず笑い声が溢れる。
だって、こんなの心当たりしかない。
『──王子様は、誰よりも大切な女の子を幸せにするための旅に出ました。』



