いつか「ほんと」になれたら

 絵本もといエリックとの出会いから幾度もの春を越え、ついにわたしも中学生になった。

 恋に部活に時々勉強に、毎日忙しいけど充実した日々を過ごしている──はずだったが。

 
 わたしは今、自室の机の前で頭を抱えていた。


「ワークが、終わらない……」

 そうなのだ。定期テスト当日に提出の、ワークが終わらないのだ。

 去年から中学生である燐人くんは普段からコツコツと進めているようで、テスト前も余裕そうなことが多い。なんならワーク3周しているくらいだ。


 ただ、いくら育った環境がほとんど一緒だからと言って、性格まで同じな訳がない。

 わたしは定期テスト初心者であり、部活との両立も下手、さらには問題を解くスピードも遅かった。

 
 その結果、提出範囲を約20ページずつ残したワーク3冊を前に、テスト2日前の深夜に絶望していた。
 
 
 中学のテストは、ノー勉で90点は取れた小学校のものとは違って、2週間前からちゃんと勉強しないと出来ないらしい。
 燐人くんや、部活の先輩たちからもらった過去問を見てもそれは明らかだった。