ある日の最後の授業が終わってすぐ、俺の教室に、俺よりも1つか2つ年下であろう女の子が訪ねてきた。
どうやら彼女は、新しく俺の妹になった咲凜のクラスメイトらしい。
咲凜が男子生徒たちに連行されているところを見かけて、俺を呼びに来たんだとか。
そして、彼女に案内された先には、……男子生徒たちに笑われる妹の姿があった。
「絵本の王子さまがすきとか、ばっかじゃねぇの?」
「そーだそーだ」
咲凜は何かを、大事そうに腕の中に抱えている。
そんなもの、置いていって早く逃げればいいのに──いや、きっとこれがその“絵本”だ。
俺からすれば一冊の本でしかないけれど、きっと咲凜にとってはかけがえのないものなのだろう。
それにしても、咲凜の芯の強さには驚いた。
咲凜は、常に明るく笑っているような子だと思っていたし、実際にそうだった。
だから、父さんからも母さんからも万が一の時は咲凜を守るように言われたのも、当然のことだと思っていた。
この子は愛をいっぱい注がれ、家族のお姫様として大切に育てられるのだろうと。
「あのさ、咲凜」
「うん」
「俺は絵本の王子様を好きでいていいと思う」
でもね、きっと咲凜はお姫様じゃない。
咲凜は出会う人全員を幸せにする、魔法使いだ。
どうやら彼女は、新しく俺の妹になった咲凜のクラスメイトらしい。
咲凜が男子生徒たちに連行されているところを見かけて、俺を呼びに来たんだとか。
そして、彼女に案内された先には、……男子生徒たちに笑われる妹の姿があった。
「絵本の王子さまがすきとか、ばっかじゃねぇの?」
「そーだそーだ」
咲凜は何かを、大事そうに腕の中に抱えている。
そんなもの、置いていって早く逃げればいいのに──いや、きっとこれがその“絵本”だ。
俺からすれば一冊の本でしかないけれど、きっと咲凜にとってはかけがえのないものなのだろう。
それにしても、咲凜の芯の強さには驚いた。
咲凜は、常に明るく笑っているような子だと思っていたし、実際にそうだった。
だから、父さんからも母さんからも万が一の時は咲凜を守るように言われたのも、当然のことだと思っていた。
この子は愛をいっぱい注がれ、家族のお姫様として大切に育てられるのだろうと。
「あのさ、咲凜」
「うん」
「俺は絵本の王子様を好きでいていいと思う」
でもね、きっと咲凜はお姫様じゃない。
咲凜は出会う人全員を幸せにする、魔法使いだ。



