いつか「ほんと」になれたら


 明日こそは聞いてみたいな。ううん、絶対に聞くんだ。

 そう決意してから、いったい何日が過ぎただろうか。
 毎日好きは更新されていって、毎日余裕はなくなっていくばかりだ。
 
 もう数えるのが面倒になってきたので、正確な日数は分からないが、わたしが1人で悶々としている間に、大体半年が経過した。
 時間の進みって早すぎる。
 
 

 そして、半年間もあれば、わたしとエリックの距離だって近づくわけで。

 前よりも話しかけるハードルも下がったことだし、とにかく勢いで聞いてみた。
 
 
「あの…、エリック」
「どうしたの?」
「えっと、その」
「うん。ゆっくりでいいよ」
 
 エリックは、わたしが話し出すまでずっと待っていてくれた。その間握っていてくれた大きな手にも、いつもより物理的に近い距離にも、全てにときめく。
 
 おかげさまでいつもよりも緊張してしまったが、それでもなんとか口を開いた。


 ちゃんと聞けてえらいよ、わたし!
 
「エリックは、なんで、雨が好きなの?」
「特に深い理由はないんだけど、強いて言うなら咲凜と初めて話した日が、雨の日だったからかな」

 深い理由あるじゃん。

 というか。それにしても。


 ずっと知りたかった“理由”が、わたし…?