パッと気持ちを切り替えられるところも、大人って感じがして、ものすごくかっこいい。
「じゃあ咲凜。何しよっか」
「おままごと、しよ!」
「おままごと…って出会ったばかりの頃にやってたものだよね」
幼い頃のリベンジがしたい一心で提案したのだが、エリックは若干眉をひそめた。
全然嫌がっている様子はなく、純粋に小学生のわたしがおままごとをしていることが不思議だったようだ。
「うん。小さい子のあそびらしいけど、エリックとまたやりたいなって」
「分かった。咲凜がお母さんで、僕がお父さんでいい?」
「もちろん!」
かつてわたしが出した配役を覚えていて、それを自慢するでもなく、さらっと言ってくれるエリックが好きだ。
最初は絵本の表紙に描かれていたイラスト──つまり見た目を好きになった。
次に、これまた絵本の内容だけど、普段の優しい態度を好きになった。もちろん、戦う時に垣間見える勇敢なところも良いと思っている。
そして、夢で会えて初めて知った声や話し方、表情もきっと、どうしようもなく好きになるのだろう。
「おかえりなさい、エリック」
「ただいま、咲凜。大好きだよ」
「わたしもだいすき!!」
ありふれた眠りの中に響いた優しい笑い声の先に、これから始まる幸せが見えた気がした。



