いつか「ほんと」になれたら


「──みり、咲凜」
「…だ、れ?」

 初めて聞く声のはずなのに、なぜか泣きたくなるような懐かしい響きだ。そして、それはわたしが長い間探していたもののような気がした。


「僕だよ、エリックだよ」


 さらりと揺れるピンクブロンド(というらしい)色の髪も、宝石のような空色の瞳も、純白の王子服も、間違いない。たぶん、エリックだ。

 絵本の表紙みたいな柔らかいテイストではなく、輪郭くっきりおめめぱっちりのエリックがそこにいる。

 その姿は、この世のものと思えないほど美しい。
 
「え…ほんもの……?」
「ふふ、咲凜は面白いことを言うね」


 わたしの驚いた顔を見て、エリックは幸せそうに微笑む。その眼差しは、絹よりも柔らかくて、優しくて、心地よい。絹を触ったことないから分からないけど。


「エリック…あいたかった」
「僕もだよ、咲凜。会いたくて仕方なくて、夢の中まで来ちゃった」
「来てくれてうれしい!」


 エリック曰く、わたしと話してみたいと強く願った結果、なぜか夢の中に入ってこれたらしい。
 絵本ではエリックは魔法も使えたし、きっとそんなこともあるのだと思う。

 当のエリックは納得がいかないらしく、首を傾げていたけれど。
 でも、彼はすぐに表情を切り替えて、再びわたしに笑顔を向けた。