いつか「ほんと」になれたら

「僕は体力も有り余ってるから大丈夫。咲凜はゆっくりしてていいよ」
「ほんと!?」


 普段から運動はしているみたいだけど、それでも咲凜の腕はすごく細くて、ずっと生地を混ぜ続ける力なんてなさそうだ。
 見ている僕が心配になるから、もうそろそろ休んで欲しい。

 一生懸命な咲凜を見ているのが好きだから、いつも結局黙って見守ってしまうんだけど。
 
 
「…でも、お世話になったお礼だし、やっぱり自分でやってみる」
「分かった」


 先ほどまでとは表情を変えて、覚悟を決めたように頷く咲凜。泊めてもらったお礼に、自分の全力を尽くそうとする健気な姿は眩しい。

 そんな咲凜を、1番近くで支えたい。 
 

 咲凜は自分のことは二の次で、夢中になると周りが見えなくなる。危なっかしい彼女から目が離せない。
 つまり僕は、どうしようもなく、取り返しのつかないくらいには咲凜が好き。
 
 
「あとちょっと…。よし、届いた!」
「咲凜! 危ない!!」