いつか「ほんと」になれたら

「そうだね…そうだよね。嘘じゃないんだよね」
「うん。これからはずっと一緒だよ」
「ほんと…?」


 当たり前のように告げた僕に、咲凜はぱっと明るい表情を浮かべた。
 もしかして、目の前にいるこの少女は、僕が長年抱え続けてきた気持ちに気づいていないのではないか。

 今まで、当然のように僕と咲凜は両思いで、お互いに相手の気持ちを知っていると信じ込んできた。でも、それが勘違いだったら…?
 僕が咲凜に向ける“好き”と、咲凜が僕に向けてくれる“好き”が異なるものだとしたら。


 帰り道に貰った言葉も、友人としての僕に向けられている可能性だって否定出来ない。
 
 思わぬ落とし穴に気づいてしまい、つい身震いしてしまう。
 

「エリック? どうしたの?」


 僕の些細な変化にも気づいてくれる咲凜が好き。
 それだけ僕をよく見てくれているなら、咲凜だって僕のことが好きじゃないの?

 ……なんて、言えるはずもない。
 

 僕が身分を捨てるとかいう大きな一歩を踏み出せたのは、その先の未来に咲凜がいる気がしたから。

 そんな咲凜を手に入れる選択肢がない世界だったら、僕には一歩分の勇気すらもない。大臆病者だ。

 
「ううん。ちょっと考え事をしていただけ」
「それならよかった」
「でも気づいてくれてありがとう。大好き」
「わたしも!」