いつか「ほんと」になれたら

◇◇◇

 
 艾葉さんの家だという花苑家に、無事に居候させてもらうことになった。
 そして、リビングにあるソファーの隣に座る咲凜は、さっきから何やらぶつぶつと呟いている。

 
「夢じゃないよね?……いたっ」 

 
 心配になって何度も、頬をつねる姿もまた可愛い。
 夢の中では痛みを感じないらしく、信じられないような奇跡が起こった時に頬をつねるのだそうだ。
 
 ということはつまり、咲凜はこの状況を奇跡だと喜んでいてくれているのではないか。
 話しかけられはしないものの、頬をつねる度にこちらの様子を伺ってくる。
 きっと罪悪感…感じているんだろうな。
 
 
 でも、咲凜だって忙しかったんでしょ? 
 その様子も全て見てきた僕には、咲凜を責めることなんて出来そうにない。
 
 また会えたから、これからは隣にいられるんだから申し訳ない、なんて思わなくていい。
 咲凜の罪悪感も救うように、彼女の手を握る。


「夢じゃないよ。ほら、こうやって手も繋げる」