死者に出会っても、来てくれる保証はない。
それなのに、あたしのどこから、こんな行動力が湧いてくるんだろう。
いつから……?
あの噂を聞いてから……?
高見橋くんに会ってから……?
あたしが生じた疑問の答えは、自問自答によってすぐに示された。
何だか、不思議な気分だ。
亡くなった人に出会っても、『スムージーラリア』に来てくれるとは限らないのに。
それでも、あたしが創った世界のこと、知ってほしいと思ったんだ。
だって、あたしの人生は、このゲームを知ったことで大きく変わったから。
病院内をくまなく探した後、あたしは自動ドアを通り抜ける。
病院の庭には、あじさいの花々が咲き誇っていた。
「もう夕方……」
夕暮れに急かされても、転移者は見つからない。
ゆっくりと太陽が沈んでいくのを感じながら、あたしはあじさいを見つめる。
入院したばかりの頃に比べると、見える景色から心なし色味が減って、緑が増えたような気がした。
その時、一人の男の子がぼんやりとたたずんでいるのに気づいた。
あたしたちと同じ年頃くらいのおとなしそうな雰囲気の男の子。
きょろきょろと辺りを見回している状況なのに、周りの人たちは一切、足を止めない。
まるで彼が存在していないように、無視して通りすぎていく。
しかも、今のあたしみたいに。
彼の横顔は――透けて、向こうの木々が見えていた。
「もしかして、あの男の子は死者……?」
ぽつりとつぶやいたあたしの独り言に答えたのは、高見橋くんではなかった。
それなのに、あたしのどこから、こんな行動力が湧いてくるんだろう。
いつから……?
あの噂を聞いてから……?
高見橋くんに会ってから……?
あたしが生じた疑問の答えは、自問自答によってすぐに示された。
何だか、不思議な気分だ。
亡くなった人に出会っても、『スムージーラリア』に来てくれるとは限らないのに。
それでも、あたしが創った世界のこと、知ってほしいと思ったんだ。
だって、あたしの人生は、このゲームを知ったことで大きく変わったから。
病院内をくまなく探した後、あたしは自動ドアを通り抜ける。
病院の庭には、あじさいの花々が咲き誇っていた。
「もう夕方……」
夕暮れに急かされても、転移者は見つからない。
ゆっくりと太陽が沈んでいくのを感じながら、あたしはあじさいを見つめる。
入院したばかりの頃に比べると、見える景色から心なし色味が減って、緑が増えたような気がした。
その時、一人の男の子がぼんやりとたたずんでいるのに気づいた。
あたしたちと同じ年頃くらいのおとなしそうな雰囲気の男の子。
きょろきょろと辺りを見回している状況なのに、周りの人たちは一切、足を止めない。
まるで彼が存在していないように、無視して通りすぎていく。
しかも、今のあたしみたいに。
彼の横顔は――透けて、向こうの木々が見えていた。
「もしかして、あの男の子は死者……?」
ぽつりとつぶやいたあたしの独り言に答えたのは、高見橋くんではなかった。



