何もかも失ったわたしに待ち受けていたのはイケメン達との極甘な同居生活でした


わたしの右手を彼の大きな右手が絡んだかと思うとそのままグイグイと引っ張られ、ゆるい階段をのぼる。

すると、広いリビングダイニングルームが現れて、そこにある大きなソファーにはタイプの異なる男性がふたり座っており、わたしと同じくポカンと口を開け、お互いを凝視したまま固まってしまった。

「…うそだろ。あの翠(すい)が女の子を連れ込んで来ちゃったよ」

わたしよりも年上だろう眼鏡姿のイケメンが目を丸くしてわたしと彼を交互に見やる。

「ちょっ、この家には女の子連れてこない決まりだろっ、」

ふわふわな髪の毛が印象的な可愛らしい男性が俯いたまま彼に抗議する。

すると「翠」と呼ばれた彼は一瞬わたしに目配せして、

「この子、今日からうちの住み込みの家政婦として雇うから」

自信たっぷりに言い放った。

「「「…は?」」」

わたし、眼鏡イケメン、ふわふわイケメンが同時に彼の言葉を疑った。