リビングは、シン…ッと静まりかえっている。
それもそうか。まだこんな時間だものね。
「さて、と」
目の前には大きな冷蔵庫。
勝手に開けていいものだろうか…。
でも、わたしは家政婦。朝ごはんを作る義務がある。
「ごめんなさい…っ」
思わず謝罪の言葉が口に出て、ゆっくり冷蔵庫のドアを開けた。
「…え、」
冷蔵庫の中身を見て唖然とする。
食材と言えるものがひとつもなかったのだ。
ビールにエナジードリンクに牛乳。
冷凍庫にはアイス。
野菜室にいたっては何も入っていない。
あの方達は一体何を食べて生活しているの…?
しばし冷蔵庫の前で立ち尽くしていると、誰かの気配がして反射的に振り向く。
「…はよ」


