「わたし、本当にここに住んでも、、」

「ああ。今日からこの家がすずの居場所だ」

屈託ない笑顔を見せる翠さまのシャツの裾を思わずぎゅっと掴む。

今日からこの家がわたしの『居場所』。

それは、本当にーーー?

また、失ったりしないですか…?

言葉が口から吐(つ)くより先に零れたのは大粒の涙。

「すず…」

名前を呼ばれ、そのままわたしはふわりと翠さまの腕の中へと吸い込まれた。

「もう大丈夫だ」

わたしは落ち着くまで翠さまの優しさに甘えてしまったのだった。