彼の秘密は、溺愛付き。

鏡の前でもう一度全身の最終確認をする。

少し髪が跳ねていたので慌てて直した。いつもなら気にもしないのに。

それだけで自分がどれだけ浮かれているか分かってしまう。

ヘアセットもいつもより手が込んでいるし、小物にまで気を遣っている。

流石に小物は気づかなくても髪型が違えば三原くんも分かるかもしれない。


「楽しみにしていたってバレるかな……」


そんな考えに頭の中の私が「気づかれても問題ない! そのまま行けー!」と言い返している。

だってもう着替える時間もないし、これだけ頑張ったヘアセットを崩す勇気もない。

私は覚悟を決めて、もう素直にいつものシューズじゃなくて可愛いブーツを履いて外へ出た。