彼の秘密は、溺愛付き。

「そろそろ帰らないとだね……! また明日!」

私は早口でそう話して、休憩スペースを飛び出す。

明日も普通に仕事があるだけなのに、「また明日」なんてまるで小学生みたいに元気に言って逃げてきてしまう。

休憩スペースから離れれば、そこはもう電気も消されてしまっている暗い廊下。

私はそこで冷え性な自分の手を頬に当てて、ほてった頬を冷やす。

冷たい手が気持ち良いはずなのに気持ちは落ち着かなくて。

息を整えて、頬の赤みが消えればいつも通りに戻れる……はず、だよね?

ドキドキと鳴り響く心臓へ無意味に私はそう問いかけた。