彼の秘密は、溺愛付き。

その時、開いていた窓からヒュッと冷たい風が入り、頬を(かす)めた。

それで三原くんも我に返ったのか、私の手を離した。

いつもの雰囲気に戻したくて私はわざと明るい声を出す。

「そういえば土曜日に食べたシフォンケーキ凄く美味しかった! 今度はチョコケーキも食べるから、店長の奥さんに美味しかったって伝えてくれると嬉しいな」

もちろん本心だけれど、話を変えるためにカフェのケーキを使ってしまって少し申し訳なく感じる。


「もちろん。『また』来てくれるなら俺も嬉しい」


自分がつい「また行く」と言ってしまったことに気づく。

話を変えるつもりが、自分から話を戻しに行っているようなものだ。

しかし三原くんはカフェの話題を変えなかった。