彼の秘密は、溺愛付き。

三原くんの言葉の続きを遮るようにカタンっと何かが落ちた音が響く。

近くのテーブルに置いてあった一輪の造花がプラスチックの花瓶ごと床に落ちている。

休憩スペースのテーブル上にインテリアとして置いたあったもの。

造花なので水も入っていないから、開いていた窓からの風で落ちたのだろう。

座っていても届く距離のテーブル。

私は座ったまま手を伸ばして花瓶をテーブルに戻そうとした、のに。

それだけだったのに。






伸ばした手に触れたのは……いや、重なったのは三原くんの手だった。





今度は昼休みの数秒とは違った。

何秒かなんて考えることは出来ない。

だってまだ触れているのだから。

三原くんも花瓶を戻そうとして偶然重なった?

そんなことすら考える余裕はない。




「平塚さんさ、もうカフェに来ないなんてことないよね?」

「そんなの俺は嫌。やっと平塚さんと話せたのに」





そう言葉にした三原くんは「もう逃さない」と告げるように私の手をギュッと握った。