彼の秘密は、溺愛付き。

私のものではないから、ぶつかった拍子(ひょうし)に三原くんが落としたのだろう。

私はボールペンを拾って、三原くんに「落としたよ」と差し出す。

しかし……





三原くんの手はボールペンではなく、ボールペンを握っている私の手に触れた。





僅か数秒のこと。

きっと後ろにいる後輩も気づいていないレベルの話。

それでも、何故か手に触れたことは事実で。

そして何事もなかったように三原くんはボールペンを受け取った後、そっと私の耳元に顔を近づけた。







「18時、3階の休憩スペース集合」







私でも聞こえたか聞こえないか分からない程度の声量。

しかし私が聞き返す前に三原くんはもう歩いて行ってしまう。