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紫陽が狗神の住む地へ向かうため旅立ったのは、その次の日。意志が弱まる前にさっさと行動に移すことにした。
最低限の荷物と刀一本を持ち、地図を頼りに歩き続けた。
帯刀した少女が一人で歩いているのは目立つらしい。すれ違う人々からは散々怪訝そうな目を向けられた。お金もないので屋敷から持ってきた携帯食だけ口にし、夜は野宿で乗り切った。
そんな調子で旅を続け、三日目の黄昏時にようやく目的地の目の前までたどり着いた。
(なるほど、確かに町全体に結界が張られている)
隣の村との境に立ち、紫陽はゆっくり深呼吸をした。
狗神の城はもう見えるところにある。事前に調べた通り、町全体が何かから隠れるように白い霧のようなものに覆われていた。
だが、余所者を拒むための結界というわけではないらしい。紫陽が恐る恐る足を踏み入れても、何かに阻まれるような感覚はしなかった。
建物が多く並ぶのは少し先で、この辺りはどこにでもあるような田畑が広がっている。
ただ、肌が焼かれそうなほど強力な霊力が感じられ、ここは本当に妖の王が住む地なのだと実感させられた。
(怖い。……けど、ここまで来たらもう逃げられない)
作戦など何もない。情報が無いのだから立てられるはずもない。
とりあえず、狗神のいる城に向かうほかないだろう。そう思って、あぜ道を一歩踏み出した瞬間だった。
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紫陽が狗神の住む地へ向かうため旅立ったのは、その次の日。意志が弱まる前にさっさと行動に移すことにした。
最低限の荷物と刀一本を持ち、地図を頼りに歩き続けた。
帯刀した少女が一人で歩いているのは目立つらしい。すれ違う人々からは散々怪訝そうな目を向けられた。お金もないので屋敷から持ってきた携帯食だけ口にし、夜は野宿で乗り切った。
そんな調子で旅を続け、三日目の黄昏時にようやく目的地の目の前までたどり着いた。
(なるほど、確かに町全体に結界が張られている)
隣の村との境に立ち、紫陽はゆっくり深呼吸をした。
狗神の城はもう見えるところにある。事前に調べた通り、町全体が何かから隠れるように白い霧のようなものに覆われていた。
だが、余所者を拒むための結界というわけではないらしい。紫陽が恐る恐る足を踏み入れても、何かに阻まれるような感覚はしなかった。
建物が多く並ぶのは少し先で、この辺りはどこにでもあるような田畑が広がっている。
ただ、肌が焼かれそうなほど強力な霊力が感じられ、ここは本当に妖の王が住む地なのだと実感させられた。
(怖い。……けど、ここまで来たらもう逃げられない)
作戦など何もない。情報が無いのだから立てられるはずもない。
とりあえず、狗神のいる城に向かうほかないだろう。そう思って、あぜ道を一歩踏み出した瞬間だった。



