「……チッ」
みっちーに銃を向けているその男は、鬱陶しそうに舌打ちすると、私にその剣呑な視線を投げて忌々しそうに聞いてきた。
「お前は誰だって聞いてんだろうが。答えねえとこいつ撃つぞ」
「まって、言わないで!ほんとにお願い、逃げて……!」
「テメエは黙ってろ!使えねえ飼い犬の分際でッ!」
「っ!」
ガンッ、とみっちーのこめかみが銃で叩かれた。
衝動的に私はみっちーの制止を無視し――というか従うなんてできるはずもなく、名前をこぼす。
「刹菜」
「あ……!」
「私は刹菜。その子の親友」
「…………」
その瞬間、みっちーと男は同時に表情を一変させた。
みっちーはさらに深い絶望の表情、そして男は驚愕と喜びの表情へと。
「へえ…………お前がセツナか」
「やっ、お願い、待って、お願いッ!」
「チッ、だからうっせえって言ってんだろ!!」
ガツッとまた鈍い音が聞こえた。
みっちーを守るために飛び出したくなるが、ここは耐えないと。
相手は銃なんだから、迂闊に動いたら最悪の場合私かみっちーが死んでしまう。
それだけは避けないと。
「お前、こいつのシンユーだっつったな?なら、こいつを助けたいよな?」
「もちろん」
頷くと、男はニンマリと口と目元を気色悪く歪め、指でくるくると銃を弄ぶ。
まるで銃という重たい存在を軽く扱うような態度に腹が立ちながら、私はその男の言葉を待った。
「だったら俺について来い。俺に従っていれば、こいつは殺さず生かしといてやってもいい」
選択肢は、ないに等しかった。



