*
「……尊都さんのへんたい」
「変態だとも知らずに煽った刹菜チャンが悪いから、自業自得だね」
結局、私はあのあと蕩けたままなんとか尊都さんからの「あーん」で朝食を食べきった。
そして、これでやっと終わりかと最後の一口を嚥下した次の瞬間、尊都さんに「よくできました」と撫でられたかと思うと、私は再びそこで降り注ぎ始めたキスの雨に溺れる羽目になってしまい。
おかげで解放された頃には足に力が入らず、くつくつと笑う尊都さんの胸をぽかりと叩いて絞り出した言葉が「へんたい」である。
もう、ほんとに、あのまま頭からぱくりと喰われてしまうんじゃないかと思った。
もしくはその前に私が幸せのあまり溶けて液体になるところだった。ちなみに三割くらい本気で。それくらい未知の世界だった。
でもとりあえず、今日のところはこれで許してくれるらしい。今日のところはってなんだろうか。そこがとても気になるが、考えたら最後寝かせてもらえない気がするので、思考は厳重に鍵をかけた上で頭の片隅にポイしておいた。
頑張ってくれ未来の私。
「それじゃあおやすみ、刹菜」
まだ若干ぽやっとしている私の額に羽のようなキスを落とし、尊都さんはふわりと笑った。
「夢も見ないくらい、ぐっすり寝てね」
「……」
尊都さんは、いじわるだけど。
でもやっぱり優しくて、好きだなあ。
よし、最後の悪あがき。
「おやすみなさい」
本当は私も額にキスしたかったんだけど、届かないから。
私は背伸びをして、もう一度だけほっぺにちゅっとキスしてみた。
そしてまた驚く尊都さんにベーッとベロを見せ、バタンっと私室の扉を閉め、続いて鍵もかける。
「……はあ…………」
扉の向こうで尊都さんの特大ため息が聞こえたことは、無かったことにしておこう。
*



