「……ふう」
適当な部屋に隠れて座り、一息つく。
私、カフェ初上陸ならず……冒険の途中で船が沈んでしまった気分だ。
がっかり。抹茶フラッペなるものを飲んでみたかった……。
「…………」
膝を抱えて、その上に頭を預ける。
誰もいない、木が揺れる音しかしない空間で1人でいると、自然といろいろなことが頭に巡った。
例えば、私がされた誘拐のこと。
尊都さんと会ったあの日も、私は後ろから薬を嗅がされて気絶して、売り飛ばされるところだった。
そして、それから数日しか経っていない今日も。
私だけじゃない。今は、いろんな人が被害に遭っている。
学校内でモテモテの保健室の女の先生が攫われそうになったという話もこの前耳にした。
この街で、何かが起こっている。
それはわかるけど、それしかわからない。
私は、何もできない。
「……刹菜」
「はい?あ、尊都さん」
「お待たせ」
名前を呼ばれて顔を上げると、尊都さんが手を差し伸べてくれていた。
いつの間に来たんだろう。全然気づかなかった。
いきなりの登場にびっくりしていると、尊都さんは動かない私を見つめて首を傾げる。
「怪我はしてないみたいだけど……どうかした?」
「え、あ、なんでもないです!すみません、お手数をおかけして」
ここでぼーっとしちゃうなんて、我ながら情けない。
こんなに早く来てもらんったんだから、てきぱきしないと!
頭を振って尊都さんの心配を否定し、手を取ろうとした――そのとき。



