報復を最愛の君と

なんとかクラをセレストと会わせて、あの部屋に押し込むことができた。


…かなり無理矢理だったけど。


でも、きっと仲直りできるよね!


私はそれを信じるしかない。


今は部屋に戻っているところ。


まだ朝早いわけだし、二度寝でもしちゃおうかな〜って思ったり。


イコロ国にいる頃は朝から勉強詰めだったし、ゆっくりできることなんて少なかったから。


そんなことを考えていると、前に人影があることに気がつく。


「あれ?セラン…」


それはセランだった。


朝見るとなんだか神秘的?


そういえばセランをまじまじと見つめたことはなかったけど、頭から生えている耳、そしてお尻の尻尾がかわいく見える。


そんなセランはというと、不機嫌だった。


それから、私の方にズカズカと歩み寄ってくる。


「ねえヒメアさ、いつまで人間と関わる気?」


「え?」


突然の質問で驚いてしまった。


そんな私に考える時間も与えず、セランは話し出す。


「俺達が三大能力者だって理解してる?その力の恐ろしさを理解してる?この先、どうなるかって考えたことあるわけ?」


なんだか強引で怖かった。


どうしていきなり?


でも、そう聞けなかった。


「それってどういう——」


「どうもこうもないよ。俺達は“バケモノ”なんだから」


そう言ってセランは私の腕を強くつかんだ。


爪が食い込んで少し痛い。


それから、セランは言った。


私達はバケモノだと。


それはどういうこと?


「セランは…セレストと同じく人間を恨んでるんじゃないの?」


「今は違う」


「今は?」


前は恨んでいたということなのだろうか。


でも、だったら今は人間をどのように思っているの?


「そうだ。あの日セレストが暴走して、たくさんの人間を傷つけた。そこで俺は気がついたんだ。俺達はバケモノだって!!悪いのは人間じゃなく、暴走を引き起こす三大能力者だ!!」


ドンッ!


「い、痛っ…!!」


両腕をつかまれ、私は背中を壁に押しつけられた。


セランは怒っていた。


「なぜ気がつかない?お前は母国で呪い扱いされていたはずだ。なら考えたことがあるだろ?俺たちは所詮(しょせん)神もどきの人間だって。人間が神の力を抑えられるわけがないって…!!無理なんだよ…。俺達と人間は分かり合えないさ…」


違う。


怒っているんじゃなくて、悲しんでいるんだ。


もしかしたら、セランはそれほど人間を恨んでいないのかもしれない。


「前は人間が一方的に悪いと思ってた。でも、本当は違う…!俺達がバケモノのせいだ。俺達は、ここにいるべきじゃない」


「そんなことないよ!!」


私は大きな声で言った。


「私達は人間と能力者が豊かに暮らせる世界をつくるために、生まれてきたんだよ!カノンにも言われたんでしょ?なら、頑張ろうよ。私達はバケモノなんかじゃない。セランもそう思ってるんじゃないの?人間と分かり合いたいって」


そう言うとカッとなってしまったセランは、私に手を振り上げた。


私はとっさに頭を守った。


しかし、思った衝撃はこなかった。


かわりに、ありえないほど低いソラの声が聞こえた。


「おい。なにしてる?」


驚いて目を開けると、セランの腕をソラがつかんでいた。


セランはソラを見るなり、舌打ちをしてどこかへ去ってしまった。


その時セランに言われた。


「人間と一緒にいればいつか必ず後悔する」


私はヘナヘナとその場に崩れ落ちた。