始まりは偽彼氏、でも本気の恋




重苦しい雰囲気の漂うリビングへ行くと、朝に片付けたはずの机にはたくさんの資料が散らかっていた。



目の前にはベージュ色のしわ一つない新品のようなスーツを着て、きつめに巻かれた髪をした女。



真っ黒のしわ一つないスーツを着て、ブランド物のネクタイをして、ワックスで整えた髪型の男。



「.....なんでいるんですか」



いつもはこんな時間に帰ってくるはずなんてないのに。



「なんでって自分の家にいちゃ悪いかしら?」



「いいえ、私達がいる時間に帰ってくるとは思わなかったもので」



この人達はどうせ計算しているのだろう、その御自慢の頭脳で。



「今日は普通に学校かと思ったのよ。こんな時間にいるってことは夏休み?」



「今日は終業式。明日から8月31日まで夏休みです」



話しているはずなのに、私達の瞳は一切交わらない。