執着心がないはずの危険な男は少女を甘く囲い込む。

「紗都って俺を苛立たせるの得意? なんか焦らさらてる感じがするんだけれど」

そう言った柊斗の目の奥がどこか怖い。


「まぁ、どっちでも良いけど。俺が女の膝の上で寝ていたって言うのが重要」


「???」


「俺、そんな知らない奴の膝の上で寝るほど馬鹿じゃないから。紗都が特別な気がする」


「えっと……多分相当眠かっただけだと思うよ」


「そういうとこがなんか気に入らなくて、興味を引くんだよ」


柊斗が自分の耳のピアスに触れながら、私から目を逸らさない。




「膝の上で寝れたことじゃない。紗都と出会ってから交わした言葉も視線も全部特別に感じる。興味を引くんだ」




重すぎる言葉、それでも柊斗は多分本気で言っている。

そんな冗談を言うタイプじゃない。