執着心がないはずの危険な男は少女を甘く囲い込む。

「ここに来れば、特別にここにある本を読ませてやるよ。レジの手伝いだと店長には言っといてやる」

私にとっては甘い誘惑。

でも、それだけで釣られるほど馬鹿じゃない。

「ここなら陽も当たるし、読書にはぴったりの場所だと思うけど」

「…………」

「嫌なの?」

小さく頷いた私には柊斗が「俺は基本的に奥の部屋にいるけど」と言い放つ。

それが私にとっては大きな加点ポイントだった。

「そうなの?」

「ああ」

「じゃあ、来るかもしれない……」

そう小さく呟いてしまった私に柊斗が「ははっ」と乾いた笑いをした。