執着心がないはずの危険な男は少女を甘く囲い込む。

「この本屋、基本誰も来ないから奥の部屋を借りてるんだ。客が来たらレジを担当する約束で。それで……たまに陽の当たる店の中に出てくる」

「店に出てくる時があるのは分かったけれど、なんで私の膝の上で寝てたの?」

「さっき店に出てきた時が眠くて、多分紗都に気づかなかったんだと思う。良い枕だと寝ぼけながら思ったんじゃねーの」

「良い枕!?」

なんて失礼なやつなんだろう。

人の膝を良い枕と言うなんて。

そして勝手に勘違いをして、人を押し倒す。

横暴(おうぼう)にも程がある。



「紗都、明日も来いよ」



行けるはずない。