執着心がないはずの危険な男は少女を甘く囲い込む。

本当は……



ずっと前に私はこの店を見つけた。



店の外からそっと中を覗いたら、奥の襖が開いていた。

そこで壁に寄りかかってすやすやと眠っている青年がまるで看板猫のように見えたの。

それから襖が開いていることなんて一度もなくて、ずっと入るか悩んでいた。

あの日、勇気を出して入っても前に見た青年はいなくて。

本を読みながら疲れて眠っていたら、膝の上にあの青年が寝転がっていた。



それこそまるで猫のように。



だからつい呟いてしまったの。



「恋愛小説のヒーローみたい」



まるで小説の格好良いヒーローが会いに来てくれたのか思った。

あの日、「この店を見つけたのは偶然」と私は言った。

それは本当、嘘じゃない。

それでもこの店に私を誘い込んだのは……間違いなく貴方だから。