執着心がないはずの危険な男は少女を甘く囲い込む。

その日の放課後は雨が降っていた。

とても傘無しじゃ帰れないほどの雨。

ザーザーと雨音がする外に向かうために校舎を出る。

傘は持っていても、少しだけ気分が下がってしまう。



どうする? このまま家に帰る?



別に帰っても何も問題ない。

柊斗の言うことを聞く必要なんてない……はずなのに。

雨音に(さえぎ)られるように頭がうまく回らない。

いや、昼間に窓越しに私を見つめる柊斗の瞳から逃げられない。