執着心がないはずの危険な男は少女を甘く囲い込む。

「ん……」




あれ、私。

いつの間に眠っていたの?

目が覚めたら、膝の上にはいつもの本とは比べられないほどの重み。

身動きがとらないほどの重み。





「え……!?」





膝の上にはスヤスヤと気持ちよさそうな寝息を立てている青年。

ストレートの黒髪と真面目そうな顔立ち。

そんなイメージとは少し違う耳元のキラキラのピアス。


「恋愛小説のヒーローみたい」


そう呟けば……膝の上で眠っている猫のような男は目を覚ました。

パッ、と開いた目は私の顔を見つけた途端、目つきが変わる。







「お前、何してんの」







それはこちらのセリフ。

貴方は一体だれ。

頭が上手く回らない。



「誰が用意した女? 俺に媚びでも売りに来たの?」



この人は何を言っているのだろう。