寝不足でお見合いしたら、結婚が決まりました

「そうねえ。
 って、櫂さんも若いじゃないの」

 最近、どう? と仕事の話をしながら、二人は行ってしまった。

 急に静かになり、綾都は、ふと頭がクリアになったのを感じた。

 外を見る。

 赤い太鼓橋のかかる美しい庭園が見えた。

 心洗われる。

 この、一瞬、頭がクリアになったとき、ちゃんと見るべきは、相手の顔で、太鼓橋ではなかったのだが。

 まあ、眠いときには、判断能力が欠如するものだ。

 綾都の微かに残っていた理性と知能は、美味しい料理とイケメンの見合い相手を前にしても、仕事に全振りされていた。