魔法使い時々王子

シドは一度深く息を吸い、呼吸を整えてからルイの執務室の扉をノックした。

「どうぞ」

中から声が聞こえ、扉が開く。

出てきたのは、ルイの側近だった。

「シド様。どうぞこちらへ」

側近に案内され、シドは執務室の奥にあるルイの部屋へと入った。

書類にサインしていたルイは顔を上げた。

「アリスから手紙が届いたそうだな」

ルイが尋ねる。

「はい。ようやく、ミロ王国から承諾が出ました。ミロ王国は、早急にアスタリト王国との会談を希望しています」

シドがそう告げると、ルイはゆっくりと立ち上がった。

そして窓の外へ視線を向ける。

「……いよいよだな」

その声には、これまでの道のりを思い返すような響きがあった。

「まずは、至急ジル王子に伝える。それで……シド。君も一度、国へ戻ってはどうだ?」

その言葉に、シドは一瞬言葉に詰まった。

「……はい。一度戻って、話し合いをしなければとは考えていました」

「では、いい機会だ。その件も私からジル王子に伝えておこう」

ルイはそう言うと、シドへ向き直った。

「来週以降にはアスタリトへ向かえるよう、準備をしておいてくれ」

「承知しました」

シドは深く一礼すると、ルイの部屋を後にした。

廊下を歩きながら、シドは静かに深呼吸した。