魔法使い時々王子

部屋に戻ると、アリスは机に向かい、再び手紙を書き始めた。

セオからまた返事はないが、セオから計画の了承を得たことをいち早く伝えたい。

セオはアスタリト王国と直接会い、話をすることを望んでいる。

アリスは一つ一つ、丁寧に言葉を綴った。

やがて手紙を書き終えると、封をして窓辺へ向かった。

そして、いつもの笛を取り出す。

ピィ――。

しばらくすると、夜空の向こうから白い翼が近づいてきた。

エミリーが窓辺へ降り立つ。

「エミリー、お願い」

アリスは手紙をそっと渡した。

「急ぎ、シドのもとへ届けて」

「かしこまりました」

エミリーは手紙をくちばしにくわえると、大きく翼を広げた。

「お願いね」

アリスが見送る中、エミリーは夜空へ飛び立っていった。

その姿が小さくなり、やがて夜の闇へ消えていく。

アリスはしばらく窓辺に立ったまま、夜空を見つめていた。

――ついに、動き始めた。

星晶を守るために。

国民を守るために。

そして、自分たちの未来を切り開くために。

アリスはそっと胸に手を当てた。

もう、後戻りはできない。

それでも――

「……大丈夫」

小さく呟き、アリスは前を向いた。

その夜、一羽の白い鳩が運んだ一通の手紙が、遠く離れた国へと向かって飛んでいった。