魔法使い時々王子

「分かったわ。よろしくね、エミリー。」

エミリーは小さく羽を震わせると、アリスを見つめた。

「シド様やルイ様に、何かお伝えすることはございますか?」

その問いかけに、アリスはぎゅっと拳を握りしめた。

そして、覚悟を決めるようにゆっくりと口を開く。

「……今夜、セオに私たちの計画を話すわ。」

その言葉を口にした瞬間、胸が大きく高鳴った。

もう後戻りはできない。

「かしこまりました。必ずお伝えいたします。」

エミリーはそう答えると、脚に結ばれていた小さな笛を器用にくちばしで外し、アリスの手のひらへ置いた。

「これからは三日に一度、こちらへ参ります。お急ぎの用件がございましたら、この笛を鳴らしてください。すぐに駆けつけます。」

「ありがとう。」

アリスは小さく微笑んだ。

「では、失礼いたします。」

エミリーは軽く羽ばたくと、窓から夕暮れの空へ飛び立っていく。

その白い姿が見えなくなるまで、アリスは静かに見送っていた。

そして、そっと胸に手を当てる。

――今夜、すべてを話そう。

そう心に誓い、アリスは静かに部屋を後にした。