魔法使い時々王子

アリスは自室へ戻ると、静かに椅子へ腰を下ろした。

――今夜、セオに話す。

そう決めたものの、胸の鼓動は落ち着かなかった。

セオは何と言うだろう。

反対するだろうか。

それとも――。

コン、コン。

その時、小窓を何かが軽く叩く音がした。

アリスは顔を上げる。

「……!」

窓の外では、一羽の紙鳥が羽ばたいていた。

「シド!」

アリスは慌てて立ち上がり、窓を開ける。

紙鳥はふわりと舞い込み、そのままアリスの手のひらへ降り立った。

魔法を解くと、一枚の手紙へ戻る。

アリスは急いで封を開き、目を走らせた。

そこには、イスタリア国王がルイ王子の動きに気づき、星晶に関して何かを画策していると疑い始めたこと。

そのため、今日予定されていたミロとの会談を急遽中止したことが書かれていた。

「……お父様、勘付いたんだ……。」

アリスは小さく呟く。

しかし、計画の内容までは知られていないらしい。

ルイからは、

『予定通り、セオ王子に話してほしい。』

そう伝えてほしいと書かれていた。

さらに、手紙の最後にはもう一つ。

『紙鳥での連絡は今回で最後になる。』

アリスは目を見開く。

その理由もすぐに書かれていた。

今後は、連絡役としてエミリーが動くという。

以前、アリス付きの侍女として王宮にいたあのエミリー。

だが本当の彼女は、アスタリト王国でジル付きの側近を務めていたらしい。

アリスは思わず手紙から顔を上げた。

「……あの、エミリー?」

思いがけない名前に、驚きを隠せなかった。