魔法使い時々王子

「ノエル! 良いところに来てくれたわ!」

アリスは思わず立ち上がった。

ノエルは二人のただならぬ様子に、すぐに表情を引き締めた。

「どうかなさいましたか?」

「イスタリアの使者がまだ来ていないみたいなの。遅れているのか、それとも会談自体がなくなったのか……。調べられる?」

ノエルは一瞬だけ考え込むように目を伏せたが、すぐに頷いた。

「分かりました。すぐに調べます。何か分かり次第、ローズ様とダリウス様にもお伝えします。」

そして、隣であからさまに居心地悪そうな顔をしているリトに視線を向けた。

「お二人はここに残っていてください。」

さらに、少しだけ微笑む。

「リト様。これも大事なお仕事ですよ。」

リトはわずかに顔をしかめた。

「……分かってる。」

どうやら、お茶会を面倒くさがっていることは、とっくに見抜かれていたらしい。

ノエルは優雅に一礼すると、足早に部屋を後にした。

その背中を見送りながら、アリスはほっと息をついた。

「……ノエルがいてくれてよかった。」

リトも小さく頷く。

「ああ。」

アリスは窓の外に目を向けた。

「それにしても……会談はどうなったのかしら……。」

そう呟いた、その時だった。

「何の会談だい?」

突然、背後から声がした。

アリスとリトは、びくっと肩を震わせた。

振り返る。

そこには、いつの間に来ていたのか、セオが立っていた。

穏やかな笑みを浮かべている。

だが、その目は真っ直ぐにアリスを見ていた。

「アリス。」

セオは一歩近づいた。

「今、何の話をしていたんだい?」