魔法使い時々王子

手紙には、いくら待っても誰も来ないと書かれていた。

アリスは手紙をくしゃっと握りしめると、リトに小声で伝えた。

「ねぇ、誰も来ないそうよ……。マルグリットさんが教えてくれた時間は、とっくに過ぎているのに……。」

リトは眉をひそめた。

「……行って確かめよう。どっちかがマルグリットのところにもう一度確認に行く。」

アリスも頷きかけた。

その時だった。

「アリス。」

優しい声がして、二人は顔を上げた。

そこには、エレオノーラが立っていた。

「今日は来てくれてありがとう。」

エレオノーラは穏やかに微笑んだ。

「リト。あなたが私の開いたお茶会に来てくれるのは、これが初めてじゃなくて?」

リトは少し気まずそうに視線を逸らした。

「……そうですね。」

エレオノーラはくすりと笑った。

そして、今度はアリスを見る。

「アリス。リトと親しくしてくれてありがとう。」

アリスは慌てて姿勢を正した。

「エレオノーラ様……! お誕生日おめでとうございます。今日はお招きいただき、ありがとうございます!」

隣で、リトが小さくため息をついた。

――早く行こう。

そう言いたげな顔だった。

アリスはちらりとリトを見る。

――だって……仕方ないでしょ?!

目だけでそう返した。

「ゆっくりしていってね。お菓子もたくさんあるわ。」

エレオノーラは優しく微笑むと、他の招待客の方へと歩いて行った。

アリスは大きく息を吐いた。

「……やっぱり今抜けるのは気まずすぎる……。」

「だから最初から――」

リトが言いかけた、その時だった。

「あの、アリス様。」

二人は同時に振り返った。

そこには、ノエルが立っていた。