魔法使い時々王子

「それで? 私たちは何をすればいいの?」

ローズは何故かワクワクした表情で身を乗り出した。

アリスは深呼吸をすると、ゆっくりと答えた。

「イスタリアの使者と、ミロの話し合いを盗み聞きするのよ。」

その言葉に、ローズの目がさらに輝いた。

「いいわね!! でも、どこで? 盗み聞きなんてして、バレたりしないの?」

「それは大丈夫だ。」

答えたのはリトだった。

「会談が行われる部屋の隣に隠し部屋がある。そこから話を聞く。」

「隠し部屋?」

ダリウスが眉を上げた。

アリスは頷いた。

「この王宮には隠し部屋や隠し通路がたくさんあるの。リトはその半分くらいを把握しているわ。」

「えっ?! そんなの聞いたことなかったわ!」

ローズは驚いたようにリトを見た。

リトは肩をすくめる。

「聞かれなかったからな。」

「ずるい!」

ローズは頬を膨らませた。

そんな二人のやり取りに、アリスは少しだけ笑みを浮かべた。

「マルグリットさんが教えてくれた時間、私とリトはエレオノーラ様のお茶会に呼ばれているの。」

アリスはダリウスとローズを見た。

「だから、二人にお願いしたいの。」

ダリウスは腕を組んだまま頷いた。

「分かった。」

ローズは勢いよく立ち上がる。

「任せなさい!」

そう言って、自信満々に胸を叩いた。

アリスはその姿に少しだけ安心した。

「この話し合いの内容を聞いてから、私はシドの計画をセオに話すタイミングを考えるわ。」

「そうですね。」

ノエルが静かに口を開いた。

「ミロは、国民の安全と引き換えであれば、星晶を差し出すという決断をする可能性も十分にあります。」

その言葉に、図書室の空気が再び重くなった。

アリスはぎゅっと手を握りしめた。

――その時、私はどうするのだろう。

いや。

答えは、もう決まっている。

アリスは顔を上げ、仲間たちを見渡した。

「ありがとう、みんな。」

その言葉に、誰も迷いを見せなかった。