魔法使い時々王子

その日の夕方。

アリスはリトと共にローズとダリウスを図書室に呼び出した。

「どうしたの?」

ローズが問いかけた。

アリスは三人を見渡した。

「マルグリットさんから連絡があったの。三日後、イスタリアから使者が来るわ。」

その言葉に、図書室の空気が張り詰めた。

「いよいよか。」

ダリウスが腕を組む。

アリスは頷いた。

「ええ。恐らく、これが最後の通達になると思う。」

しばらく沈黙が流れた。

その時、リトが少し離れた本棚の方を見た。

「ノエル。」

本の整理をしていたノエルが顔を上げた。

「こちらへ来てくれ。」

ノエルは手にしていた本を棚に戻すと、静かにこちらへ歩いてきた。

アリスは一瞬迷ったが、やがて決意したように口を開いた。

「ノエル。あなたにも話を聞いてほしいの。」

そしてアリスは、星晶のこと。

イスタリアからの要求。

そして、自分たちがこれから行おうとしている計画について話した。

ノエルは一度も口を挟まず、最後まで静かに話を聞いていた。

話し終えると、図書室は静まり返った。

アリスはノエルを見つめた。

「……危険なことになるかもしれない。それでも、私たちに力を貸してほしいの。」

ノエルはしばらく黙ったまま、じっとアリスの顔を見つめていた。

長い沈黙だった。

やがて、ノエルはふっと柔らかく微笑んだ。

「分かりました。」

その声は、とても穏やかだった。

「私でお役に立てるのであれば、喜んで協力いたします。」

アリスはほっと息をついた。

「ありがとう、ノエル。」

ノエルは小さく頭を下げた。

その姿を見て、ローズは嬉しそうに笑った。

「これでまた頼もしい仲間が増えたわね。」

アリスは皆の顔を見渡した。

一人ではない。

改めて、そう思えたのだった。