魔法使い時々王子




「ダ、ダリウス!?」

「……やっぱりアリスか」

ダリウスは驚いたように目を見開いたまま、小さく笑った。

「まさかとは思ったんだが……」

「どうして、あなたがここに……?」

「先週、この国に着いたんだ」

ダリウスは肩をすくめながら言った。

「前から一度は来てみたいと思っていてな。それに、お前の嫁ぎ先でもあるし」

「あら、私の様子を見に来てくれたの?」

アリスがそう尋ねると、ダリウスは少し照れくさそうに笑った。

「まぁ、一応な」

そう言ってから、周囲を見回す。

「本当は明日あたり王宮へ行って、正式に謁見を申し込もうと思っていたんだ」

そして、呆れたように小さく息を吐く。

「……まさか、その前にこんなところで会うとは思わなかったが」

その言葉に、アリスは少しだけ気まずそうに視線を逸らした。

そんな様子を見たダリウスは、何かを察したように身をかがめる。

そして、アリスの耳元へそっと顔を寄せた。

「……もしかして、王宮には内緒で来てるのか?」

「ち、違うわ!」

アリスは慌てて首を横に振る。

「ちゃんと王太子の許可はいただいてるもの!」

少しだけ頬を膨らませて言うアリスに、ダリウスは目を丸くした。

「……ふーん」

その返事には、どこか半信半疑な響きが混じっている。