魔法使い時々王子

男性と別れたあと、アリスは辺りを見回した。

(……ローズ、どこへ行ったのかしら)

先ほどまで隣にいたはずなのに、すっかり姿が見えない。

アリスは人混みをかき分けながら、会場を歩き始めた。

その時だった。

「っ……!」

誰かと肩がぶつかる。

手にしていた仮面が指先から滑り落ち、床へ転がった。

「あ……!」

「失礼しました」

低い声とともに、男性がしゃがみ込む。

床に落ちた仮面を拾い上げると、アリスへ差し出した。

「どうぞ」

「ありがとうございます」

アリスが手を伸ばした、その瞬間。

男性の動きがぴたりと止まった。

「……え?」

驚いたように目を見開き、アリスの顔を見つめる。

「アリス……?」

突然名前を呼ばれ、アリスは思わず顔を上げた。

「え……?」

目の前の男性も、信じられないという表情でこちらを見ている。

(誰……?)

仮面のせいで分からない。

すると男性は慌てたように、自分の仮面を外した。

現れた顔を見た瞬間、アリスは息を呑む。

「ダ、ダリウス!?」

そこに立っていたのは、従兄のダリウスだった。