魔法使い時々王子

ほら、来るわ」

「ろ、ローズ……」

思わずアリスの声が上ずる。

「少しくらい、セオ様以外の男性とお話しするのも悪くないわよ」

「ば、馬鹿なこと言わないで。ここへ来ただけでも、私には大それたことなのに……」

困ったように言うアリスを見て、ローズは楽しそうに笑った。

そして、男性がすぐ後ろまで来たところで、そっとアリスの耳元へ顔を寄せる。

「楽しんで」

その一言だけを残して、ローズは人混みの中へと消えていった。

突然一人になってしまったアリスは、どうしていいか分からず立ち尽くす。

そんな彼女の前で、仮面の男性は静かに一礼した。