魔法使い時々王子

園遊会は、最後まで大きな混乱もなく幕を閉じた。

客人たちが帰った後の庭園には、先ほどまでの華やかな賑わいが嘘のような静けさが広がっている。

夕暮れの柔らかな光の中、アリスはエレオノーラと並んでベンチに腰掛けていた。

風が吹くたび、薔薇の香りがかすかに漂う。

「……大成功だったわ、アリス。手伝ってくれてありがとう」

エレオノーラは穏やかにそう言って微笑んだ。

アリスも小さく笑みを返す。

「こちらこそ、とても楽しかったです。それに……薔薇の名前、本当に嬉しかったです」

その言葉に、エレオノーラはどこか優しい目を細めた。

「きっと、あの薔薇にぴったりの名前になるわ」

アリスは少し照れたように視線を落とす。

しばらく穏やかな沈黙が流れたあと、エレオノーラはゆっくり立ち上がった。

「……さぁ、そろそろ戻りましょう。今日は疲れたでしょう? ゆっくり休みなさい」

「はい」

エレオノーラは軽く手を振ると、一足先に庭園を後にした。

***

部屋へ戻ったアリスは、ようやく肩の力を抜いてソファへ身を沈める。

華やかな園遊会が終わった安堵からか、心地よい疲労がじんわりと身体に広がっていた。

その時――。

コンコン、と控えめなノックの音が響く。

「どうぞ」

扉を開けて入ってきたのは、ローズだった。

「アリス、今いい?」

いつものように明るい声でそう言うと、ローズはにっこり笑う。