魔法使い時々王子

エレオノーラに優しく促され、アリスは戸惑いながらも一歩前へ出た。

集まった人々の視線が、一斉に自分へ向けられる。

その前へ、庭師が恭しく薔薇の鉢を差し出した。

白に淡い桃色が溶け込むその薔薇は、春の日差しを受けて柔らかく輝いている。

――“アリス”と名付けられた薔薇。

それは可憐でありながら、どこか凛とした気品をまとっていた。

アリスはそっと息を吸い込み、静かに口を開く。

「……ありがとうございます。このように美しい薔薇に、私の名を付けていただけることを、大変光栄に思います」

緊張を押し隠しながら、アリスは続けた。

「そして、ここまで丹精込めて育ててくださった庭師の皆様にも、心から感謝を申し上げます」

言葉を終えると、庭園に大きな拍手が広がった。