園遊会は終始穏やかな空気に包まれ、訪れた人々は咲き誇る薔薇の美しさと芳しい香りに心を奪われていた。
やがて音楽が静かに止み、庭園に集まった客人たちの視線が中央へと集まる。
最後の挨拶のため、エレオノーラが一歩前へ進み出た。
「本日はお越しいただき、ありがとうございました。今年もこうして無事に、王室の薔薇を皆様へお披露目できたことを嬉しく思います」
穏やかな声が春風に乗って庭園へ広がっていく。
「そして今年は、新種の薔薇をご紹介することができます」
その言葉に、周囲から小さなどよめきが起こった。
合図を受けた庭師が、丁寧に一鉢の薔薇を運んでくる。
咲いていたのは、白い花弁に淡い桃色が溶け込む、美しくも愛らしい薔薇だった。
陽の光を受けた花弁は柔らかく輝き、まるで春の朝露をまとっているようにも見える。
「王室では、新種の薔薇に王妃の名を与える風習があります」
エレオノーラは静かに続けた。
「ですが、王妃である母の名を冠した薔薇は、三十年前に既に作られております」
そこでエレオノーラは微笑み、そっとアリスへ視線を向ける。
「ですから今年は――次期王妃であり、私の義妹でもあるアリスの名を、この薔薇に贈ることにいたします」
その瞬間、庭園がざわめいた。
突然向けられた無数の視線に、アリスは息を呑む。
まったく聞かされていなかった。
驚きに目を見開いたまま、アリスはただその薔薇を見つめることしかできなかった。
やがて音楽が静かに止み、庭園に集まった客人たちの視線が中央へと集まる。
最後の挨拶のため、エレオノーラが一歩前へ進み出た。
「本日はお越しいただき、ありがとうございました。今年もこうして無事に、王室の薔薇を皆様へお披露目できたことを嬉しく思います」
穏やかな声が春風に乗って庭園へ広がっていく。
「そして今年は、新種の薔薇をご紹介することができます」
その言葉に、周囲から小さなどよめきが起こった。
合図を受けた庭師が、丁寧に一鉢の薔薇を運んでくる。
咲いていたのは、白い花弁に淡い桃色が溶け込む、美しくも愛らしい薔薇だった。
陽の光を受けた花弁は柔らかく輝き、まるで春の朝露をまとっているようにも見える。
「王室では、新種の薔薇に王妃の名を与える風習があります」
エレオノーラは静かに続けた。
「ですが、王妃である母の名を冠した薔薇は、三十年前に既に作られております」
そこでエレオノーラは微笑み、そっとアリスへ視線を向ける。
「ですから今年は――次期王妃であり、私の義妹でもあるアリスの名を、この薔薇に贈ることにいたします」
その瞬間、庭園がざわめいた。
突然向けられた無数の視線に、アリスは息を呑む。
まったく聞かされていなかった。
驚きに目を見開いたまま、アリスはただその薔薇を見つめることしかできなかった。



