魔法使い時々王子

その日の午後。

アリスはローズと共に、園遊会の準備にあたっていた。

「この飾り付け、もっと華やかにしてもいいんじゃない?」

「え?でも、あまり派手すぎると——」

「いいのよ!春なんだから!」

そんな調子で、ローズは遠慮なく意見を出してくる。

けれど不思議と、その提案は的外れではなく——

アリスも思わず頷いてしまう場面が多かった。

ふと。

ローズが、何気ない様子で口を開く。

「この国の暮らしには、もう慣れた?」

「ええ、だいぶね」

アリスは微笑んだ。

「みんな優しくしてくれて……本当にありがたいわ」

「そうよね」

ローズはあっさりと頷く。

「それに何より、セオが優しいもの」

にこっと笑う。

「私も夫にするなら、ああいう人がいいわ!」

「……そうね」

アリスは、わずかに視線を落とした。

その一瞬の変化を——

ローズは見逃さなかったが、何も言わなかった。